連載④【海外ヘルスケア最前線】 米国で広がるファンクショナルキノコ
欧米を中心としたヘルスケアビジネスに携わり、健康食品事業を手掛ける田中啓之氏(オクトロール㈱・代表取締役社長)が、変化する海外ヘルススケア市場の動向などを紹介する。第4回目のテーマは、「ファンクショナルキノコ」。
昨今、日本の業界紙でも北米におけるファンクショナルキノコ市場の盛り上がりを伝える記事を散見するようになりましたが、事実統計データとしても、その堅調ぶりが示されています。米国シカゴの調査会社SPINSが発表したデータによると、2022年時点で6,270万ドルだった市場が、2024年には1億1,290万ドルまで伸びており、この2年間で約2倍に拡大しています。もちろんコロナ禍における免疫訴求も大きなトリガーでしたが、認知機能を訴求するものや、広義のアダプトゲン作用に焦点を当てたものなど、訴求ポイントが多角化してきるのが印象的です。前職で米国に駐在していた10年ほど前にも、サプリメントコーナーに免疫訴求のキノコサプリは存在していたものの、Mushroomミックス的な商品程度でした。それが今や、様々なキノコの名前が溢れており、スーパーの食品コーナーも“Maitake”や“Shiitake”など日本語名称がそのまま使われている商品も多く見られます。
先日も米国現地パートナーと打合せを行った際に、「なぜここまでキノコ領域が盛り上がっているのか?」と尋ねてみたところ、①コロナ禍を契機に睡眠領域も含めた広義のメンタル領域の市場が伸びている。②キノコは由来原料が分かりやすので消費者への説明が要らない。③サプリメント剤型のみならず、食品・飲料剤型にも使用でき、かつスーパーフード的な見せ方が可能なので価格帯も高めに設定できる、とのことでした。特に③については、紅茶やコーヒー、エナジードリンク、チョコレートまで、商品ラインアップも多岐にわたります。チャーガを配合したカプチーノ風粉末飲料『Chagaccino』がバズったのは記憶に新しいところです。一方で、市場は伸びつつあるものの、原料のキノコ種類についてはややネタ切れ感があることも事実です。つづく
詳しくは健康産業新聞1792号(2024.7.17)で
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