【話題追跡】 回復みせるインバウンド需要、注目株は「美容」

 訪日外国人の増加を受け、インバウンド需要が徐々に回復傾向を辿っている。日本政府観光局(JNTO)の調査によると、2024年3月から5月まで、訪日客数は3ヵ月連続で月間300万人を超え、新型コロナ流行前の19年を上回った。インバウンド需要の回復に期待が高まる中、注目株やマーケティング施策のヒントを探った。訪日観光情報サイト『樂吃購(ラーチーゴー)!日本』を運営する㈱ジーリーメディアグループが実施した市場調査によると、台湾・香港の訪日客が今年の春節で購入したサプリメントのトップは「ビタミンC」だった。本紙取材に対し、「台湾や香港でもビタミンCは人気で、“早C晩A”(朝ビタミンC、夜レチノール)という美容の言葉が2〜3年前から流行していることが背景にある」と分析。このほか、「日本のサプリメントは滋養強壮系、腸活系などが越境ECでも売れている」という。

 

 ビタミンCは今年上半期、『売れたものランキング』(インテージ・6月27日発表)の6位にも選出された。インバウンド需要に加え、国内需要も好調で、数字を押し上げたとしている。通販大手・ディーエイチシーにヒアリングしたところ、「ビタミンCの商品類が好調に推移している。売上は販売チャネル全体で昨対約120%増に推移した。特に流通販路での売上が好調で、インバウンドの影響」と説明する。サンドラッグでは、繁華街におけるインバウンド需要が、コロナ禍前水準の約60%程度まで回復したという。上半期の売れ筋は、『DHCビタミンCハードカプセル』『DHCビタミンBミックス』『DHC持続型ビタミンC』(ディーエイチシー)、『ヘルシア緑茶スリム』(花王)、『クラシエフリスククリーンブレスボトルフレッシュミント』(クラシエフーズ)などが挙がった。

 

 こうした中、さらなるインバウンド獲得に向けたマーケティング施策はないのか。訪日外国人の土産トップは菓子類。免税店の総合ディスカウントストアでは、和テイストパッケージの菓子を用意し、土産需要を喚起する取り組みがみられる。㈱ブルボンでは、「インバウンド向けに浮世絵などの“和”を想起させるパッケージで販売している」という。土産品用サプリへのリメイクは、新たな商機を生み出すことに繋がるかもしれない。つづく

 

 

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