ZOOM UP【ホスファチジルセリン(PS)】 PS市場、堅調な動き

 脳や神経組織に多く含まれるリン脂質の一種で、ブレインフードの代表格として知られるPS(ホスファチジルセリン)。1月10日時点では、25品(撤回除く)が機能性表示食品として受理されており、昨年1年間では、新たに4品が受理された。表示内容は、「大豆由来ホスファチジルセリンは、記憶力が低下した健康な中高齢者の認知機能の一部である記憶力(言葉を思い出す力)の維持をサポートすることが報告されています」旨で、1日摂取量はPS100mgとなっている。PS配合の機能性表示食品は、受理件数は決して多くはないものの、ディーエイチシーやノエビア、日油、小林製薬、雪印ビーンスターク、山田養蜂場などの大手・有力企業による受理も少なくないのが特長だ。またPS単体での受理に加え、イチョウ葉エキスとのW表示や、クルクミン、フェルラ酸、プロポリスエキスなどを加えた複数表示も見られる。

 

 PSの機能性研究は、欧米で1950年代に開始され、これまでにヒト試験も含め有用性に対する数多くの論文が発表されている。PS摂取による有用性は、脳の血流を改善し脳細胞を活性化させる働き、脳内物質の伝達をスムーズにする働きなどが確認されており、アルツハイマー型認知症、加齢に伴う記憶力低下、抗うつ、てんかん患者の発作改善、ストレス耐性向上、体内時計の異常修復、甲状腺ホルモンの分泌リズムの正常化――など、多岐に亘る臨床結果が報告されている。米国では2003年、高齢者の認識力低下や認知症リスクの軽減に対し、米国食品医薬品局(FDA)から「限定的強調表示」を容認されており、韓国でも2013年にPSを300mg配合したサプリメントに対し、韓国食品医薬品安全庁(MFDS)から「高齢者の認知力の低下をサポートする」旨の機能性表示が認められている。日本国内でも2017年12月にPSを機能性関与成分としたサプリメントが、初めて機能性表示食品に受理された。

 

 これら中高年の認知機能のサポート効果以外にも、PSには児童のADHD(注意欠陥・多動性障害)および、それに伴うワーキングメモリーの改善、反応性愛着傷害の改善、健常児童の学力向上、青少年のRAD症状の軽減――などに対する有用性を示すデータも多く発表されている。また、アスリートの集中力やパフォーマンスの向上、疲労軽減、充足感向上などのエビデンスデータもあり、米国ではゴルフ競技をはじめ、スポーツニュートリションとしてPSの活用も進んでいる。さらに近年は、サルコペニアに対する有用性が示唆された研究データも発表されるなど、機能性研究は日進月歩で進んでいる。つづく

 

 

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