特集【錠剤化技術・添加剤】 サプリ錠剤の高機能化を実現、独自技術に注目

 サプリメントの錠剤には、様々な目的で添加剤が使用される。もともと医薬品剤形である錠剤は、2001年「医薬品の範囲に関する基準」改正後、丸剤やハード・ソフトカプセルとともに食品利用が可能となった。一般的な錠剤加工の製造プロセスは、原料と賦形剤の混合→結合剤とともに造粒→造粒物の乾燥→整粒→滑沢剤を入れて再度混合を経て得た粉末を打錠末として粒にする「湿式顆粒圧縮法(湿式)」と、造粒工程およびそれに伴う乾燥や整粒など一連の工程なしで混合粉末をそのまま打錠する「直接粉末打錠法(直打)」の2つの製法がある。湿式の場合、造粒を行うことで、溶解性の改善や苦みの低減のほか、錠剤製造の際の重量のバラつき改善など圧縮成形性の向上にも寄与し、品質向上に繋がる。一方、直打は、湿式と比較して製造工程が少ない分、低コストで生産できる。ただ、粘度など直打ができない素材がある。そうした難成型素材に対し、錠剤化技術を活用することで、直打が可能となる。

 

 錠剤化技術の要となるのが、「圧縮成形性」と「崩壊性」の両立だ。医薬品の場合、錠剤の欠け、割れがあったり、体内で薬効成分が溶出しないと治療効果が期待できない。この「硬さ」と「脆さ」という相反する錠剤の品質については、サプリメント錠剤も医薬品錠剤と同様の作用が求められる。医薬品では、錠剤の崩壊性および溶出制御は必須だが、健康食品においても、摂取されるまで形状を保ち、体内での崩壊、および有用成分の体内吸収までを原料の物性別に検討する必要がある。崩壊性については、2019年8月の国民生活センター調査で、対象サプリメント100銘柄中42銘柄が医薬品に定められた規定時間内に崩壊しないとの報告を受け、日本健康・栄養食品協会では、GMP認定工場に対し崩壊性試験の義務化を決定。

 

 機能性表示食品においても、届出等に関するガイドラインの安全性に係る事項において、「届出をしようとする食品が、錠剤、カプセル剤形状の食品の場合には、崩壊性試験及び溶出試験による最終製品としての同等性の評価を行い、届出資料中で分析結果を示す必要がある」と明記されるなど、サプリメント錠剤開発には、原料の物性に応じた錠剤化技術と添加剤の選択が必要不可欠になっている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1757号(2023.2.1)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら