連載【はじめての越境EC⑲】〈UAE編〉アジア系移民多く、横展開の拠点にも

 アラブ首長国連邦(UAE)の2021年のEC市場規模は前年比133%の約106億ドル。今後も年平均11.9%の成長率で拡大し、2030年には約248億ドル市場になると予測されている(Statista)。特にパンデミック後にECの利用が急拡大し2020年の物販市場は前年比150%を記録。パンデミックが落ち着いた今もECは成長し続ける。UAEで利用される主要なECポータルサイトは、2019年に参入したAmazon.aeのほか、地場財閥系のNoon.comや、大手スーパーのCarrefourなどとなっている。

 

 中東中心に日本企業の進出支援事業を行うNSトレーディングの保延正義氏は、「UAEのEC市場では、ダイエット、高血圧、高血糖、膝痛といった『お悩み解決型』の健康食品の人気が高いほか、美肌、美容向け製品も良く売れている」と言う。美容向けのコラーゲンも人気が高いが、ムスリムが多いので豚由来ではなく、魚由来のものが必要とされている。化粧品は、スキンケア用品の人気が高い。高所得者層が多い市場だが、コスパの良い安価なものも良く売れる。効果が感じられれば高価格の商品もよく利用され、気に入ったものを長く使い続ける消費者が多い。

 

 物流での注意点は、輸入通関が比較的厳しいことが挙げられる。事前に商品登録を行うことが求められ、成分表の提出が必要となる。成分表がチェックされ、ハラールでないものは輸入できない。中東への物流事業を行う矢吹海運の矢吹天平氏は、「赤道を超えて輸送するため船便では70~80℃に熱せられることがあるので注意が必要。飛行機便でも常温の倉庫に保管されると50℃になることもある」という。熱に弱いサプリ、化粧品は割高だが定温管理の物流が必要となる。中東行きの複数の企業の荷を混載してコストを下げることも行われている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1753号(2022.12.7)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら