特集【ウコン】 「関節・膝ケア」「抗疲労」「美容」に照準、市場拡大の兆し

 今回の本紙集計では、新型コロナウイルスの感染拡大、外出自粛による飲酒機会・交流の減少などを背景に、200億円(2021年調査)を割り込んだウコン市場は、ピーク時の7割強となる220億円まで回復したことがわかった。『ウコンの力』ブランドを展開するハウスウェルネスフーズでは、今期上半期の『ウコンの力』ドリンクは前年比160%に。「コロナ前(2019年)と比較すると7割弱まで回復。CVSルートが伸長した」とする。機能性表示食品『クルビサ』シリーズの今年上半期の売上も前年比120%と好調だ。同社では、ウコン素材を活用した新たな機能性表示食品の開発を検討するほか、“楽しい交流のスイッチ”をプロモーションメッセージに、SNSを活用した若年層開拓に注力していく。

 

 ゼリア新薬工業では、『ヘパリーゼ』ブランドの全体売上(2022年3月決算)は77億7,000万円(前年比17.5%増)。うちCVS向けの清涼飲料水・栄養補助食品は34億2,500万円(同15.7%増)となった。今期に入ってからも、第一四半期の『ヘパリーゼ』ブランドの売上は前年比1.5倍で推移、「特にCVS向けが牽引した。2020〜2021年と比較すると、今年のゴールデンウィークはコロナ前のような雰囲気に。コロナ前を上回る売上となる時もあった」という。

 

 日本国内では「アルコール・二日酔い対策」「肝機能対応」の認知が市場に定着しているウコンではあるが、海外においては、ハングオーバー(二日酔い)対策素材としてのウコンの認知度は極めて低い。最もポピュラーな機能性は抗炎症作用であり、関節痛対策・美容・脳機能を訴求するサプリメントや一般食品に応用されている。ウコンの主要成分・クルクミンは、本場インドでは“天然のステロイド”と称され、欧米では、抗炎症作用を活用した美容・アンチエイジング、ジョイントサポートサプリメントが数多く流通している。ウコンの輸出を手掛ける大手商社によると、「二日酔い対策素材として、日本ほどウコンがマーケットに定着している国を他に知らない。豊富なエビデンスを武器に、日本では抗炎症素材として、海外ではハングオーバー対策素材として、ウコンの伸びしろを感じる」としている。

 

 抗炎症作用を介した機能性は幅広い。フェムケア・スポーツ・ダイエット市場へのアプローチが可能だ。そのため、原料サプライヤー各社では、抗炎症作用に特化した原料開発や、バックデータの蓄積を積極的に進めている。ウコン単体での研究のほか、美容ではコラーゲン、セラミド、関節対策ではグルコサミン、プロテオグリカンなどとの相乗効果研究を推進。大型市場へのマーケットインを狙う。併せて、クルクミンの高吸収で差別化を図る原料や、沖縄皇金(おうごん)などの新品種開発や、白ウコン、クスリウコンなどの新規ウコンの提案が活発化するなど、原料バリエーションが広がりをみせている。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1751号(2022.11.2)で
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