特集【アクティブシニアサポート~骨・筋肉素材~】 シニア向け機能性表示食品のサプリ、 生鮮食品活況 

 令和3年の65~74歳代の人口は1 万5,502人と全世帯中45~54歳代に次いで2番目に多い世代となっている。これら前期高齢者世代はアクティブシニアと呼ばれヘルスリテラシーが高く、積極的に健康維持に努めている。普段から、健康食品やサプリメントを摂取する率も高い。総務省統計局が今年2月に発表した年齢階級別のサプリメント通販支出統計では60代が全世代で最も多かった。しかし、今、これらの層を含む高齢者層のフレイルが深刻化している。日本老年医学会の調査によると2015~16年のフレイル率は11%だったのに対し、コロナ禍の2020~21年は16%に上昇している。

 

 フレイルは、虚弱・脆弱を意味し、高齢者特有の症状である運動機能の低下、低栄養による身長低下などが挙げられる。フレイルの中には、ロコモティブシンドロームなども含まれ骨粗鬆症やサルコペニアと呼ばれる骨や筋肉の衰えによる運動器疾患が、特に問題となっている。骨粗鬆症は、カルシウム不足が一般的要因とされており、サルコペニアはタンパク質などの不足が原因の1つとされている。フレイルの症状が進行すると要介護者となり、このことは国民の医療費逼迫能であることが明らかになった今、健食業界では、運動機能向上などに対して機能性研究・製品開発を行っている。

 

 厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、65歳以上の人は1日に1g/kg体重のタンパク質及び750mgのカルシウムを摂取することが推奨されている。タンパク質やカルシウムは主に、卵や肉・魚、大豆・乳製品に含まれており、食事から摂取するのが理想的とする一方、咀嚼や時間の問題などで食事だけでは補えない場合はサプリメントからの摂取も有用だ。

 

 健食原料サプライヤーは、各種プロテイン、ロイシン、アミノ酸、クレアチン、HMBカルシウム、ビタミンD・K、コラーゲンなどの素材をアクティブシニア向けサプリメント用途に積極提案をしている。ロンザは、L-カルニチン『カルニピュア®』がロコモ・フレイル対策向けに採用が進むほか、非変性Ⅱ型コラーゲン『UC-Ⅱ®』もアクティブシニア向けサプリメントに提案を強化する。味の素ヘルシーサプライは10年以上「フレイル」「低栄養」の研究を通し、『ロイシン高配合必須アミノ酸』を高齢者の運動機能改善向け製品に提供している。

 

 「骨・筋肉サポート」を訴求する機能性表示食品の届出も活況を呈している。「骨・筋肉」関連の機能性表示食品の届出は5月10日時点で218件(骨117件、筋肉101件)と増加傾向にある。「筋肉・筋力サポート」関連では、HMB、乳酸菌、クレアチン、ブラックジンジャーなどが機能性関与成分としてサプリメントやドリンクに利用されている。「骨サポート」関連では、コラーゲンや大豆イソフラボン、パプリカ由来カロテノイド、β-クリプトキサンチンなどの機能性関与成分が利用されている。

 


 サプリメントにとどまらず、手軽に摂取できる果物や肉などの生鮮食品や乳飲料、加工食品の機能性表示食品も増え、裾野が広がっているのも同分野の特長となっている。豚肉加工業のクリマは、国内で初めて生鮮の豚肉『氷温熟成氷室豚®』が機能性表示食品として受理された。機能性関与成分はイミダゾールジペプチドで高齢者のパフォーマンス向上を訴求する。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1740号(2022.5.16)で
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