2013年8月12日
【大麦特集】豊富な食物繊維 優れた機能性に世界が注目

大麦は穀類の中でも群を抜いて水溶性食物繊維が多いことで知られている。イネやコムギなど他の穀物と比べて多くの食物繊維が含まれ、ヘミセルロースの一種であるβ-グルカンとアラビノキシランが特に多く含まれている。これらには、血中コレステロール量の低減や血糖値の上昇抑制、免疫賦活化など多くの優れた機能性があることが報告されており、米国ではFDA(米国食品医薬品局)が「大麦のβ-グルカンにはコレステロール低減作用があり、心疾患予防効果がある」として、一定量以上の大麦β-グルカンを含む加工食品にヘルスクレーム(健康強調表示)が認められている。このたび発表された(公財)日本健康・栄養食品協会による食品機能性評価事業においても大麦由来β-グルカンが評価され、総合評価でBという結果を得た。




■世界的に評価される“大麦”の機能性
先日発表された(公財)日本健康・栄養食品協会による「食品の機能性評価事業」において、大麦由来β-グルカンは、血中コレステロールの正常化、食後血糖値の上昇抑制、満腹感の持続作用などの機能性が評価され、ABCDEの5 段階評価でいずれもBランクと評価された。

大麦に含まれる水溶性食物繊維の量は野菜、果物、穀類中で精白米の約20倍。話題のゴボウより約3 倍弱となる(図①)。その食物繊維の大部分がβ-グルカンで、小腸での脂肪吸収抑制や食物の消化吸収を緩やかにする、GI値は40以下で(図②)低GI食品としての機能性にも、世界各国が注目している。


米国ではFDA(アメリカ食品医薬品局)が2006年に水溶性食物繊維(大麦β-グルカン)を1 食当たり0.75g以上含む食品に冠状動脈疾患のリスクを下げる旨の表示を認可した。その表示内容は「大麦はコレステロールを下げることを助ける」「大麦の水溶性食物繊維であるβ-グルカンを、飽和脂肪酸やコレステロールの少ない食事に組み合わせることによって、心臓病のリスクを下げる」というものだ。また、欧州でもスウェーデン、イギリス、フィンランドでは政府・公的機関が大麦の健康表示を認めており、EUが現在進めているヘルスクレーム制度では「大麦は便秘の改善、血糖値の改善、血中コレステロールの低下などで科学的根拠がある」とされ、具体的な表示が可能になっている。さらに、豊富に含まれるβ-グルカンにより、腸内の善玉細菌を増殖させ腸内環境を改善させるプレバイオティクス素材としても期待が集まっている。最新研究ではそのプレバイオティクス効果から腸管免疫機能の増進などが判明してきた。




■日本人と“大麦”
日本人の食物繊維摂取量は、過去60年間で減少傾向にあり、特に穀類から摂取される食物繊維量が大幅に低下している。また、若年層での摂取量が高齢者層に比べて少ないことが顕著になっている。現在日本で設定されている1 日の食物繊維量は、目標量が「18歳以上の女性は17g/日以上、男性は19g/日以上」(日本人の食事摂取基準2010年版)となっているが、国民健康・栄養調査などによれば日本人全体の平均食物繊維摂取量は14gであり、1 日4 ~ 5 g不足している。(図③)
一方で、大腸がんが女性がん死亡率の1 位、男性がん死亡率の3位となり、この国民健康の悪化の原因としては、水溶性食物繊維質の不足によるものが大きいと考えられる。かつて、日本人は歴史的に雑穀、とりわけ大麦を米とともに1 万年以上前から食べてきたが、昭和30年以降白米食を中心とする食生活に変わってしまった。この結果、大麦は、昭和30年代まで年間200万t前後生産されていたが、現在、食用は7万tで、他にビール・焼酎用などに10万t強など落ち込んでいる。実際、大麦の消費量は、昭和30年で年間8.9kgあったのが、現在(2011年)では、年間0.2kgまでに落ち込んでいる(図④)。




■進む“大麦”の普及
現在、各メーカーでは、サプライヤーを中心とした団体の大麦食品推進協議会や大麦輸入サプライヤー団体のアメリカ穀物協会が、大麦の普及に向けてエビデンスを踏まえたキャンペーンを開始している。さらに、埼玉大学を中心とした大麦原料および製品開発を行う「大麦食品推進コンソーシアム」など学術機関によるプログラムも進行中だ。これにともなって、製品メーカーも、はくばく、石橋工業、永倉産業、豊橋糧食工業、ADEKAなど麦製品を展開してきたところが、新機軸の大麦食品開発展開を始めている。いずれも、これまで大麦の欠点とされた「におい」「食感」を改善したもので、加えて、高β-グルカン化原料など機能性を加味したものとなっている。食品形態もこれまでの炊飯タイプばかりでなく、無菌パックなども増えている。中食・外食分野での採用だけでなく、栄養士関係者からも注目され、学校給食、企業給食でも採用が始まっている。また、食品加工用途ではシリアル製品での使用が増えている他、粉体加工されてスイーツやパンなど各種製品に採用が進んでいる。これにより、一部メーカーでは、飽和感のある雑穀から大麦へとシフトが始まっている。この背景には、加工が難しく価格が高い雑穀よりも、使い勝手がよく、価格の優位性に加えて、各種エビデンスを持ち機能性が高い点が、健康訴求が不可欠な一般食品メーカーに支持されている。将来的には、雑穀や玄米が大部分を占めている健康訴求穀物の一角を大麦が占める可能性が高くなってきた。





健康産業新聞1477号(2013.4.3)より一部抜粋

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