2019年7月11日
特集【殺菌乳酸菌(死菌)】 相次ぐ大手参入で市場拡大見込み

 腸内フローラへの関心から、機能性ヨーグルトに代表されるようにビフィズス菌や乳酸菌の摂取気運が高まっている。健康素材としてのイメージが消費者に定着し、食品メーカーはこぞって乳酸菌を配合した商品を開発するなど一大ブームが起きている。そのブームの立役者といえるのが殺菌乳酸菌の存在だ。

 殺菌乳酸菌は、乳酸菌を加熱殺菌処理して加工したもので、生菌と異なり食品製造時に工場汚染やコンタミネーションのリスクが低いという利点を持つ。そのため、幅広い工場で取り扱いが可能で、納豆菌のような他の菌類と組み合わせるケースにおいても、菌そのものに影響を与えないため、配合食品を選ばない点が人気の要因となっている。

 また、商品化した後の品質保持についても、生菌の場合はチルド管理が必要となるが(粉末化したサプリ等は除く)、殺菌乳酸菌は、殺菌処理を行うことで常温管理、常温流通が可能になるメリットがある。原料製造においても、乳酸菌体のみを集菌して製剤化が行えるため、高濃度(菌体数の多い)原料をつくることが可能。一般的に、生菌と比較し菌数を多く規格した原料が多く、機能性の活性という点でもメリットがあるようだ。

 こうした理由から、近年殺菌乳酸菌やビフィズス菌へのニーズは急速に高まっており、サプリメント剤型のみならず、青汁やスムージーなどの健康食品をはじめ、一般食品や惣菜、外食メニューにも採用が広がっている。配合食品に広がりが出たことで、殺菌乳酸菌を取り巻く市場規模は急速な拡大を遂げている。原料サプライヤー各社のここ数年の供給量は軒並み増加しているといい、年率10~30%増で推移するなど依然好調だ。

 また大手食品メーカーも大規模な生産増強を図る。キリンホールディングスは、自社のプラズマ乳酸菌を配合した『iMUSE(イミューズ)」ブランドのさらなる成長に向け、乳酸菌製造の新拠点「iMUSE ヘルスサイエンスファクトリー」を埼玉県に設立。4月より製造を開始した。これまで外部調達してきた乳酸菌原料を自社生産に切り替えることで機動的に製造計画を立てられるようになるという。初年度の製造能力は約10tを見込む。

 5月には森永乳業が菌体製造の新工場建設を発表。「2018年度の国内の菌体BtoB事業は、2014年度比で約4倍」といい、国内での健康志向の高まりと海外からのニーズ増の状況から判断し、菌体製造ラインの増設に踏み切った。来秋稼働予定で、生産能力は2018年度比で約2倍となる150tを見込む。
 
 一方で、関連商品が広く普及したことにより「差別化が難しい」との声も。サプライヤーサイドでは、数多く流通する乳酸菌原料に埋もれないための取り組みとして、機能性研究の推進や、プロモーションに力を入れており、それぞれの菌株を際立たせる動きが活発化している。つづく




詳しくは健康産業新聞第1671号(2019.7.3)で
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